「オスモフェリン配合」と書かれた香水を見て、何なのか調べている人は多いと思う。検索すると「女性の排卵期に作り出される物質」「嗅いだ男性のテストステロンが上がる」という説明が並ぶ。ただ、どの研究の話なのかを書いたページはほとんど無い(2026年9月27日)。
先に結論を書く。オスモフェリンは、イタリアの原料メーカー Vevy Europe が1978年から作っている香料の原料だ。女性の分泌液に含まれる脂肪酸「コピュリン」に似せた合成品で、メーカーの資料では「女性用の香水向け」に分類されている。
男性用として同じ会社が出しているのは、名前の似たオスモフェロンのほうだ。この記事では、テストステロンの話の出どころから、男性用の配合香水8本の値段と選び方までを書く。運営者はどの商品も使っていない。香りは購入者の口コミと販売ページの説明で紹介するので、成分名に頼らず判断しやすくなるはずだ。
オスモフェリンは、イタリアの Vevy Europe が1978年から作る合成の香料原料。女性の分泌液の脂肪酸「コピュリン」に似た構造で、メーカーは「女性用の香水向け」と分類し、男性用には別の原料オスモフェロンを出している。
「嗅いだ男性のテストステロンが上がる」を、オスモフェリンそのもので確かめた研究は小さな2本だけ。高齢の男性12人では運動と組み合わせてホルモンの比が上がり、若い男性117人では平均に有意な変化がなかった。
成分名は全成分表示にも出ないので、選ぶ決め手は香りだ。オスモフェリン入りと書かれた男性用の30mlスプレーは、Amazon では GALLEIDO だけだった。

女性の物質なのに、男がつけて意味あるの?
オスモフェリンとは何か——イタリア発の「女性用香水向け」原料
オスモフェリン(Osmopherine)は、香水や化粧品に混ぜて使う香料の原料だ。作っているのは、イタリア・ジェノバの化粧品原料メーカー Vevy Europe。同社のカタログの年表には、1978年の製品として載っている。
カタログの説明は「コピュリンに似た構造の、再構成したフェロモン」。香りを長持ちさせる保留剤としても紹介されている。化学名は「Pyrroline Isovalerianate and Butirrate」。酪酸とイソ吉草酸という脂肪酸をもとにした合成成分だ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作っている会社 | Vevy Europe(イタリア・ジェノバ) |
| メーカーの説明 | コピュリンに似た構造のフェロモン。香りの保留剤 |
| 化学名 | Pyrroline Isovalerianate and Butirrate |
| 想定する香水 | 女性用(カタログの一覧表の分類) |
| 配合の目安 | 0.005〜0.02%(香水100gに5〜20mg) |
コピュリンは、女性の膣の分泌液に含まれる揮発性の脂肪酸の混ざり物だ。排卵に向かう時期に増え、その後は減ると報告されている(1975年)。日本語の解説でよく見る「女性の排卵期に作り出される物質」は、このコピュリンの説明に近い。
つまりオスモフェリンは、体から採った物ではなく、コピュリンに似せて工場で作った原料になる。カタログには、洗ったり制汗剤を使ったりして薄れる体のにおいを補う、という狙いも書かれていた。
ネットには「2007年に米国で発売」「無臭」という説明もあるが、メーカーの年表とも、後で紹介する研究とも合わない。「嗅ぐとテストステロンが正常時の250%に」という数字も見かけたが、論文の名前を書いたページは見つからなかった。
「テストステロン上昇」の出どころ——反応するのは嗅いだ男性
上がるとされるのは、嗅いだ男性のテストステロンだ。女性に好かれるという話ではない。しかも、オスモフェリンそのもので確かめた研究は2本しか見つからず、結果もそろっていなかった。
話の元は、1997年にウィーンの研究所の研究者(Grammer・Jütte)がドイツ語で出した報告だ。コピュリンを嗅いだ男性はテストステロンが上がり、どの女性の顔も魅力的だと評価しやすくなった、と後の論文が紹介している。テストステロンを測った追試は、2012年の学会発表があるだけだった。
| 研究 | 誰に何を | 結果 |
|---|---|---|
| 1997年・オーストリア | 男性にコピュリン | テストステロンが上がったと報告(後の論文の紹介による) |
| 2008年・東北大学ほか | 5週間の運動教室に通う52〜74歳の男性12人にオスモフェリン | 運動前のテストステロンとコルチゾールの比が上昇 |
| 2019年・ロシア | 19〜23歳の男性117人にオスモフェリン入りクリーム(4週間) | テストステロンの平均に有意な変化なし |
| 2018年・米国 | 男性243人に合成コピュリン | 性的な意欲にも女性の魅力の評価にも効果なし |
2008年の研究は、宮城県の運動教室に通う男性12人を6人ずつに分けたもので、人数がかなり少ない。上がったのもテストステロンそのものではなく、ストレスで増えるホルモン(コルチゾール)との比だった。2019年の研究は参加者が117人と多い。ただしテストステロンを測ったのはその一部で、平均値に統計的な変化は出なかった。
ここで気になるのが、話の主語だ。上がるとされるのは嗅いだ男性のテストステロンで、男性用の香水に入れると、いちばん長く嗅ぐのは付けた本人になる。女性の気持ちが動いたと確かめた研究は、この記事では見つからなかった。
コピュリンの側も、確かめ直すと差が出ていない。2018年には、米国ペンシルベニア大学の研究者が男性243人で試した結果が発表された。性的な意欲にも、女性の魅力の評価にも効果は見られなかった。2015年のオックスフォード大学の研究者の総説も、よく名前が挙がる人のフェロモン候補に確かな証拠は無いとしている。
当サイトでフェロモン香水をつけてデートした記録でも、結論は「効いたかは分からない」だった。好かれることを目当てにオスモフェリン入りを選んでも、払った分が報われたかを判断する方法は無い。
>フェロモン香水全体の答え(研究・原料・選び方)はこちらにまとめた
オスモフェロンとの違い——男性用はこちら、匂いは「花」が多数
オスモフェロン(Osmopherone)は、同じ Vevy Europe が作る別の原料だ。カタログの分類は「男性用の香水向け」で、オスモフェリンと対になっている。

オスモフェリンとオスモフェロン、1文字違いで何が違う?
原料メーカーの資料と、売り場の数字を並べるとこうなる。
| 項目 | オスモフェリン | オスモフェロン |
|---|---|---|
| メーカーの説明 | コピュリンに似た構造 | Andronone などを再構成 |
| 想定する香水 | 女性用 | 男性用 |
| 配合の目安 | 0.005〜0.02% | 0.1%以上 |
| Amazonで語が入る商品 | 31件(女性向け25) | 11件(男性用10) |
売り場でも、この分け方はだいたい守られている。Amazon で商品名か説明に「オスモフェリン」と書いた商品は31件。そのうち25件は女性向けで、男性用は GALLEIDO と &SH の2ブランドだけだった。「オスモフェロン」の11件は、男女兼用の1件を除いてすべて男性用だった。
ところが、商品ページの説明は混ざっている。男性用の GALLEIDO は、売っている店によって原料の名前も説明も違っていた。
>GALLEIDO の口コミ181件の内訳と、白い箱と BLUE の香りの違いを調べた
| 売っている所 | 原料の書かれ方 |
|---|---|
| Amazon(出品者 GALLEIDO) | 「オスモフェリン」配合 |
| Yahoo!ショッピング(エムコスメスタイル) | 「男性フェロモンの物質『オスモフェロン』」 |
| M-COSME(メンズコスメ通販) | オスモフェリンは「男性から発生する成分」 |
M-COSME の「男性から発生する成分」という説明は、メーカーの分類とも合わない。1文字違いの名前は、売る側にとってもややこしいらしい。
どちらが入っているかを、全成分表示で確かめることもできない。化粧品の全成分では、香りのための成分を「香料」とまとめて書いてよいとされている(厚生労働省の通知・2001年)。GALLEIDO の Amazon の表示も「エタノール、香料、水」だけだった。
匂いについては、どちらも「無臭」とは言えない。ロシアの大学の研究(2016年)では、18〜24歳の男女66人が濃さの違う2つを嗅ぎ、全員が感じ取れていた。
嗅いだ66人が思い浮かべた匂い(2016年・ロシア)
- オスモフェリン=花66%・果物24%・腐った匂い10%
- オスモフェロン=花60%・木26%・腐った匂い14%
- 若い男性がオスモフェリンに気づいた一番薄い濃さは0.008%(2019年・別の研究)
販売元の言葉も、この結果と合う。マギナの公式ショップは「オスモフェロン自体はいい香りとは言い難い」と書いている。&SH の無香料タイプの説明にも「フェロモン香料原料の匂いはわずかに香ります」とある。
ただ、メーカーの目安では香水に入るのは多くても0.02%で、気づける一番薄い濃さ(0.008%)の2〜3倍ほどしかない。香水を嗅いで分かる香りは、一緒に入っているムスクや柑橘、イランイランなどの香料で決まると考えたほうが自然だ。
男性用の配合香水は8本——オスモフェリン入りは2ブランドだけ
男性用で「オスモフェリン」か「オスモフェロン」と書かれた香水は、Amazon で8本見つかった(2026年9月27日)。値段と、どちらの名前が書かれているかを表にまとめた。
| 商品 | 価格・容量 | 書かれている原料名 |
|---|---|---|
| GALLEIDO プレミアムパルファム | 6,480円・30ml | オスモフェリン(別の店ではオスモフェロン) |
| &SH フェノセンティ オム | 1,600円・10ml/10g | オスモフェリン+オスモフェロン |
| MAGINA センスウェア | 3,980円・8g | オスモフェロン |
| LAGNET ソリッドパフューム | 4,500円・10g | オスモフェロン |
| REFRAG MEN 練り香水 | 3,780円・10g | オスモフェロン |
| &SH モテケアラボ | 2,600円・30ml | オスモフェロン |
| PANDORA | 2,500円・30ml | オスモフェロン |
| ハニパラ 練り香水 | 3,980円・15g | オスモフェロン |
30mlのスプレーで、オスモフェリン入りと書いた男性用は GALLEIDO だけだった。&SH は10mlの小瓶とバームで、スプレーの Amazon の評価はまだ3件しかない。練り香水はオスモフェロン入りが多く、評価の数ではマギナ(3,497件)が抜けている。
>表にある LAGNET(オスモフェロン入りの練り香水)は、口コミ350件の内訳と「980円」の条件を調べた
どの商品も配合量は書いていないので、成分では比べられない。ここからは2本を取り上げる。オスモフェリン入りの男性用スプレーの GALLEIDO と、オスモフェロン入りで評価が最も多いマギナだ。マギナの3種類の香りと口コミは、マギナ センスウェアの口コミの記事に詳しい。
GALLEIDO|オスモフェリン入りの30mlスプレー
GALLEIDO(ガレイド)のプレミアムパルファムは、日本製のメンズ香水だ。30mlで6,480円(税込・2026年9月27日)。Amazon の出品者 GALLEIDO の説明では、香りは「爽やかなベルガモットの香り、ムスクの優しいラストノート」。同じ値段で、レモンやラベンダーを効かせた BLUE もある。
表記には引っかかる点もある。箱とボトルには「Eau de Toilette(オードトワレ)」とあるのに、説明文は「オードパルファム」。香りの持ちも、単品のページは「朝つければ夜まで」、2本セットのページは「最長5時間」と書いていた。
Amazon の評価は542件で平均3.6(2026年9月27日)。星4以上が58%ある一方で、星1と星2も合わせて22%あり、評価は割れている。ページに出ていた購入者の声から、良いものと悪いものを1つずつ引く。
「香水感がなく、上質な柔軟剤のような自然な香りで使いやすいです」(Amazon・星4・2024年8月1日)
「3本ともアルコールの匂いだった。使えない。」(Amazon・星1・2025年7月20日)
店頭では、2019年4月にドン・キホーテ70店あまりで販売を始めたと、当時のメーカーが発表していた。テスターも置くと書かれていたが、今も置いているかの案内は見つからなかった。
| 価格 | 6,480円(税込・Amazon/M-COSME/楽天 2026年9月27日) |
|---|---|
| 容量 | 30ml |
| 種類 | オードトワレ(箱とボトルの表記) |
| 香り | ベルガモットからムスクへ(出品者の説明) |
| 使う場面 | オフィスやデートなど(出品者の説明) |
向いているのは、オスモフェリン入りと書かれたスプレーを1本試したい人だ。吹いた直後はアルコールが立つという声がある。逆に「時間が経てば、石鹸の香り成り良い感じです」という口コミも Yahoo!ショッピングにある(2026年8月26日)。ムスクの香りが好きなら、候補に入れていい1本だ。
MAGINA センスウェア|オスモフェロン入りの練り香水
マギナのセンスウェア ベルガモットは、8gで3,980円の練り香水だ(2026年9月27日)。公式ショップは「オスモフェロン配合」と書いている。原料そのものは「いい香りとは言い難い」ので、ベルガモットなどを合わせたという説明だ。
Amazon の評価は3,497件で平均4.0。Amazon のレビュー要約では、香りに触れた1,003人のうち818人が好意的だった。持ちについては245人中101人が不満を書いている。一方で携帯性に触れた103人のうち102人は好意的で、持ち歩いて塗り直すのに向く。
| 価格 | 3,980円(Amazon・公式Yahoo!ショップ 2026年9月27日) |
|---|---|
| 容量 | 8g |
| 種類 | 練り香水(ワセリンベース) |
| 香り | 柑橘・ハーブ・ムスク系(公式の説明) |
スプレーよりも近くでほのかに香る練り香水が欲しい人や、オスモフェロンのほうを試したい人に向く。3,000件を超える評価と口コミで、香りの傾向を確かめてから選べるのも安心できる点だ。
オスモフェリンのよくある質問——ドンキ・原液・無香料ほか
- オスモフェリン入りの香水はドンキで買えますか?
男性用の GALLEIDO は、2019年4月にドン・キホーテ70店あまりで販売を始めたとメーカーが発表していた。今どの店にあるかは、この記事では確かめていない。ドンキの商品として名前が挙がりやすいジュテームHは、Amazon の商品情報では「対象: 女性用」だ。
- オスモフェリンの原液は買えますか?
Amazon で「オスモフェリン 原液」を検索すると0件だった(2026年9月27日)。原料は化粧品会社向けで、メーカーの配合の目安は0.005〜0.02%。上限の0.02%で計算しても、原料1gで香水5kg分になる。
- オスモフェリンとイランイランはどう関係しますか?
別の物だ。イランイランは南国の木の花から採る精油で、甘く濃い花の香りがする。Amazon で「オスモフェリン」と書かれた31件のうち13件がイランイランも挙げていて、組み合わせる商品が多い。
- 無香料ならオスモフェリンの匂いはしませんか?
しないとは言い切れない。&SH の無香料タイプ(女性用)の説明には「フェロモン香料原料の匂いはわずかに香ります」とある。2016年のロシアの研究でも、参加者全員が濃さの違うオスモフェリンを感じ取っていた。
結局どう選ぶか——オスモフェリンの有無より香りで1本
この記事で調べた範囲では、オスモフェリンで選ぶ理由は見つからなかった。原料メーカーの分類は女性用の香水向けで、テストステロンの話も嗅いだ男性の話、しかも研究の結果はそろっていない。
それでもフェロモン香水を1本試すなら、決め手は香りと形だ。スプレーでムスク系が好きなら GALLEIDO、近くでほのかに香る練り香水ならマギナが候補になる。まず安く試すなら、&SH の10mlもある。
オスモフェリンの有無ではなく、香りで選ぶ。オスモフェリン入りと書かれた男性用の30mlスプレーは、Amazon では GALLEIDO だけだった。
ムスクや柑橘の香りそのものが好き/効果は期待せず、香りとして気に入った物を使いたい/買う前に低い評価の口コミも読める
女性に好かれる効果を期待している/オスモフェリンかオスモフェロンかで選びたい/香りの好みがまだ決まっていない
今日やることは1つ。気になる商品の星1〜2の口コミを先に読み、香りの説明が自分の好みに合うか確かめる。GALLEIDO なら、「柔軟剤のような自然な香り」と「アルコールの匂い」のどちらに近そうかを考えてから選ぶといい。
>フェロモン成分をうたう香水の口コミを、件数で仕分けた記事もある(VORTEX 1,041件の内訳)


